年間300件以上の相続税の相談を受ける相続税の虎こと税理士の棚田秀利です。
2021年1月7日、FMちゅーピー「棚田税理士の相続相談室」も新年初ですが、
「遺産分割がまとまらないときのトラブル」について話しました。
遺産分割がまとまらないときの一番のトラブルは、遺産を受け取ることができないことです。
ただ私は税理士なので、税務的なトラブルをお伝えしたいと思います。
相続が発生した際、それが相続税の申告義務がある場合、
相続発生後10ケ月以内に遺産分割と相続税申告書を提出しなければいけません。
期限内に申告ができない場合、もちろん加算税と延滞税が課税されますが、
実はそれは小さな話です。
遺産分割が10ケ月以内に完了しなくて困るのは、
次の二つの特例が利用できなくなります。
①配偶者の税額軽減の特例
➁小規模宅地の評価減の特例
二つとも、相続税申告の特例でももっともメジャーなものなので、これが利用できないのは大変痛いです。
①は配偶者が相続した財産のうち、配偶者の法定相続分又は1億6千万円とのいずれか多い金額まで相続税が減額されるものですが、
通常の規模の相続税申告の場合配偶者が相続する分については相続税が課税されない結果となっております。
➁は、被相続人の事業用及び居住用の宅地等を、一定の要件を満たした相続人が相続した場合には、
一定の面積を限度としてその宅地等の評価額が50%又は80%減額されるものですが、
これについての詳細な説明はまた別の機会にさせていただきたいと思います。
それでは、遺産分割がどうしても10ケ月以内にまとまらない場合、相続税を余計に払うことになって大変な損害が起きるかといえば、
適切な対応をすれば免れます。
遺産分割が10ケ月以内にまとまらない場合、
①まず、遺産を法定相続分で分割したという前提で計算された相続税の申告書を申告期限内に提出します。
この場合、配偶者の税額軽減は適用できないので、配偶者も相続税を一旦負担していただきます。
➁①の書類のほかに、「申告期限後三年以内の分割見込書」を申告期限内に提出しておきます。
➂そして申告期限後3年以内に分割協議が確定した場合には、分割の翌日から4ケ月以内に、その遺産分割協議書とともに、
更正の請求なり、修正申告をすることになります。
この時点で遺産相続した配偶者は、いったん負担した相続税を還付してもらうことができます。
相続税の申告に慣れていない方の中には、どうしても相続発生後10ケ月以内に遺産分割協議を確定しなくてはならず、
もしできなかったら多大な税金負担をしなければいけないと考えている方もいらっしゃいますが、
前述のように適切な対応をしていれば大丈夫です。
そんな時には、相続税申告の経験の豊富な税理士に依頼されていた方が安心かもしれません。
相続税申告相談プラザひろしまでは、相続税申告経験の豊富な税理士が対応させていただきますので、ご安心です。
初回無料相談ですので、お気軽にご相談下さい。
ちなみに申告期限後3年経っても遺産分割協議ができていない場合においても、対応策はありますので、ご安心を。
詳細の説明はまたの機会にさせて下さい。
令和3年1月7日FMちゅーピー放送