相続税専門税理士が語る「親の預金の引き出しについて」(放送開始134回目)

親の預金の引き出しについて、どういうリスクがあるか?どう対処したらいいのか?を相続税専門税理士が説明します。

相続人の子が被相続人の親の預金口座から預金を引き出されているケースをしばしば見かけます。

親と言えども他人の預金口座から預金を引き出すのは慣れない行為ですが、

なぜ親の預金を引き出すことになったのでしょうか?

1. 親の医療費・介護費がかさんでいる。自分の預金から立て替えたくない。

親の面倒を見ている子には共通の状況です。そして、親の預金から預金を引き出す最初の要因です。

2. このまま相続が発生すると、相続税が課税されるようになる。財産を引き下げたい。

今まで相続税のことを全く考えていなかったけど、いざ近い将来に生じる親の相続を考えると、相続税のことがとにかく不安に感じて預金を引き出すことも多いです。

3. 親から生前贈与をしてもらえる話を以前してもらった。代わりに引き出しておく。

過去に親から生前贈与の約束をしてもらったけど、親の体調が急変してそのままになってしまった。今のうちに出金して確保しておきたい。

4. 相続が発生すると、何も親の面倒をみなかった兄弟たちと等分に遺産分割をするには抵抗感を感じる。

5. 親から通帳とキャッシュカードを任せられている。

親の預金を引き出すと、税務署がうるさい?!

親の預金通帳から引き出した預金は、
①親の意思により預金が引き出されたのであれば贈与と認められますが、贈与税の申告の有無が次の問題となります。

また令和5年までの贈与であれば、相続発生前の三年以内の贈与は相続税の計算上相続財産に持ち戻し加算の対象となりますが、

令和6年以降の贈与であれば相続発生前七年以内の贈与は相続財産の持ち戻し加算の対象となります。

➁親の意思により預金が引き出されたのではないということになれば、親のタンス預金として相続税課税されます。

税務署だけでなく他の相続人もうるさい

例え生前の親から全幅の信頼を得て、親の預金通帳・カードを管理していたとしても、
いざ相続が発生すると、相続発生前の取引は他の相続人が相続人の権利として確認することができます。

そのため気軽な気持ちで親の預金から引き出していると、後で他の相続人にその引き出しをなぜしたのか?何に使ったのか?と追及されることが十分にありえます。そしてその引き出し分を特別受益として相続発生後の遺産分割に不利になることもありえますので、ご注意ください。

相続税申告相談プラザひろしまでは、相続発生後の相続税の申告だけでなく、生前の財産管理についても多くの経験がありアドバイスできますので、気軽にご相談ください。

令和5年9月21日FMちゅーピー出演放送134回目