相続税専門税理士が解説します!不動産賃貸業の法人化はどうやって行いますか?(放送107回目)

相続税専門税理士が不動産賃貸業の法人化のメリット・デメリットを説明します。

個人の不動産賃貸業を営む人が、法人化したいときには、次の形態により法人化することができます。

1.不動産オーナーと賃借人との契約はそのままで、管理業務をする法人を設立する。

2.あらかじめ設立された法人が不動産オーナーの所有する建物を借り上げて、その法人が改めて賃借人と賃貸契約をする。

3.あらかじめ設立された法人が不動産オーナーの所有する建物を購入して、その法人が改めて賃借人と賃貸契約をする。

1.不動産オーナーと賃借人との契約はそのままで、管理業務をする法人を設立する。(管理会社方式)

三つの方法の中で、一番手軽な方法です。

コストも会社を設立する費用しかかかりませんし、入居者との交渉も必要ではありません。

しかし、この方法では管理会社の売上となる管理料が、市中の管理会社の管理料の水準(3~6%)に抑えないといけないので、

それほど大きくない管理物件だと節税メリットも薄くなる可能性が大きいと思われます。

2.あらかじめ設立された法人が不動産オーナーの所有する建物を借り上げて、その法人が改めて賃借人と賃貸契約をする。(サブリース方式)

この方法では入居者との賃貸契約を管理会社と締結し直さないといけない手間が生じますが、

管理会社の利益は(管理会社が入居者からもらう家賃)と(管理会社が家主に払う家賃)の差額であり、

これは(管理会社が家主に払う家賃)の15%程度に設定することができます。

3.あらかじめ設立された法人が不動産オーナーの所有する建物を購入して、その法人が改めて賃借人と賃貸契約をする。(移転譲渡方式)

この方式が一番管理会社の売上が大きくなり、節税メリットも大きいです。

しかし、注意点もあります。

①個人から管理会社へ不動産(アパートの家屋)を移転登記しないといけない。

➁サブリース方式と同様に入居者との賃貸契約を締結しなおさないといけない。
だけでなく
➂登録免許税・不動産取得税の負担が大きい。

④あまり古い物件だと譲渡所得税が発生する可能性がある。

➄移転登記後早期に相続が発生すると、対策後の相続税が対策前より大きい負担となる可能性がある。

よって、移転譲渡方式を選択する際には、相続税に強い税理士さんにご相談することをお勧めします。

巷には、杓子定規に不動産賃貸業の法人化を勧められる方もおられますが、
法人化には功罪あり、法人化して良いか否かはその方の年齢・健康状況・資産の保有状況にもよります。

相続税申告相談プラザひろしまでは、「法人化ありき」ではなく不動産オーナーの状況を十分考慮した上でアドバイスさせて頂きますので、

気軽にご相談ください。

FMちゅーピー2022年8月4日放送分(放送開始107回目)