相続税専門税理士が解説します!時価と路線価と固定資産税評価額の違い(放送開始75回目)

相続税専門税理士が解説します!土地の価格における、時価と路線価と固定資産税評価額の違い

土地の価格については様々な概念があり、各々別の名称があります。

地価について

地価公示は、地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日の標準地の正常な価格を判定し、公示するものです。

時価について

現時点で売買取引されている価格です。

結局売り手と買い手が双方納得すれば、それが時価ということになります。

路線価について

国税庁が毎年7月1日に発表する、相続税の土地評価の計算のためのものです。

路線価は時価の8割程度に設定されているため、多くの場合時価よりも低いです。

固定資産税評価額について

固定資産税評価額は3年に1回、市区町村が価格を公表します。

今年はその評価替えの時期です。

一般的に固定資産税評価額は地価公示価格の7割に設定されていますが、

各々の土地の固定資産税評価額は、固定資産税通知書または名寄帳に記載されています。

ただし、固定資産税通知書には、固定資産税評価額の他に、
固定資産税課税標準額とか都市計画税課税標準額も記載されているので

混同しないように気を付けましょう。

遺産分割について、どの価格を適用するべきか?

税理士が相続税申告書を作成する過程において財産目録を作りますが、

その土地の評価額は、路線価をベースとした相続税評価額で記載されています。

皆さんにご注意していただきたいのは、
必ずしも税理士が計算する相続税評価額によって遺産分割を行うことは

必ずしも適当(公平)であるとはいえないことです。

他にも固定資産税評価額で遺産分割する方法もありますが、

本来は時価で行うべきであると思います。

しかし、時価というのは前掲のように、売り主と買い主がその価格で納得する価格で、

遺産分割の際に適当な時価がなかなか把握できません。

不動産鑑定士に依頼して時価を鑑定評価してもらうことが最も公平だと考えることもできますが、

鑑定士に対する報酬の負担も発生します。

結論的には、路線価なり、固定資産税評価額なり、近隣の取引事例を総合的に利用するしかないと思います。

「あなたの土地を路線価で売ってくれ!」という業者から問い合わせ

あなたがある土地を持っていて、不動産業者が「路線価で売ってくれ」と言われたらどうでしょうか?

前掲の通り、路線価は時価の8割の目安で設定されていますので、

路線価で売るというのは損するのではないか?という可能性が大いに考えられます。

しかし、路線価も一部の地域では世間相場から考えてかけ離れている場所もたまに見かけますので、ご注意下さい。

FMちゅーピー2021年4月1日放送分 放送開始75回目