委託者とは、もともと財産を所有していた人のことを言います。家族信託は、信託を設定する際に定められた「信託の目的」に応じて財産の管理処分が行われますので、家族信託を行う目的を明確にしておく必要があります。
委託者は最初の主役と言えます。財産の所有者である委託者は、信託の目的に納得しなければ財産を信託することはありませんので、委託者は、信託の設定をする場面において一番の影響力を持っています。
「委託者が財産管理の主役にならなくてもよくなる」というのが家族信託の特徴ですので、信託が始まると実際の財産管理をするのは受託者ですので、委託者は主役の座を譲り渡すことになります。
委託者の次に主役となるのが受託者です。委託者が元気なうちは、財産の管理処分について委託者が受託者に指示を出すことは可能ですが、財産を実際に管理処分するのは受託者の仕事になります。
【委託者が亡くなったら】
信託契約の場合、委託者が亡くなると信託法に明確な規定がないため現状では「委託者の地位は相続される」とされます。ただし、もし契約の中で「委託者の地位は相続により承継しない」旨を定めておけば、相続人へ相続はされません。
また、受益者連続型信託といって、委託者謙受益者である方が死亡した場合に、第二受益者を定めておく場合には、この第二受益者の財産も信託財産へ追加できるようにするために、「委託者の地位は相続により承継せずに、受益者の地位とともに移動する」といった定めを設けることもあります。
信託契約の内容を検討する際に、”委託者が亡くなった場合はどうするか”というところまで自身の考えをまとめ、契約の中で取り決めをしておくことが重要となりますご家族の皆様とも相談をしながら、ご自身の考えをまとめておきましょう。