質問
相続税には申告期限があると聞いたのですが、その期間や間に合わなかった場合の罰則などを教えてください。
回答
相続税の申告期限は相続の開始を知った日(主に相続発生の日)の翌日から10ケ月以内です。
申告期限に間に合わないと次の困ったことが起きます。
余計な税金がかかります。
懲罰的な意味合いを持つ無申告加算税(重大な場合には重加算税)、利子的な意味合いを持つ延滞税がかかります。
配偶者の税額軽減が適用できません。
配偶者が取得した相続財産において1億6000万円もしくは法定相続分のどちらか多い金額までは相続税が非課税となります。
小規模宅地の評価減の特例が適用できません。
配偶者の税額軽減と並んで、相続税申告において大いに節税効果が期待できる特例が小規模宅地の評価減の特例です。これは例えば被相続人の自宅に相続人が住み続けようとしたときの敷地のうち330㎡まで80%評価減が受けられるものです。これが適用できないと相続税の負担が大きくなることが予想されます。
ということで、相続税申告の期限は守らないと税の負担が大きくなり、困ったことになります。
申告期限まで1ケ月を切っている場合に税理士事務所に依頼して間に合うのか?
理論上は間に合います。
しかし相続財産の計上漏れのない正確な申告書を作成するのに、以下の書類が必要で、これらが揃っていないと相続税の申告手続きが進むことができず、一か月経過時点で以下の書類を揃えることから着手すると間に合わないことも予想できますので、
以下の書類の準備は早めに着手することをお勧めします。
①まず親族の関係を把握するのに
・被相続人の出生時から死亡時までの連続した戸籍謄本・改製原戸籍・謄本・除籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・被相続人の戸籍の附表
・相続人全員の戸籍謄本
➁そして所有する財産を把握するのに以下の書類が必要です。
・不動産に関しては、名寄帳及び固定資産税通知書
・預貯金・有価証券に関しては死亡日現在の残高証明と過去7年間の取引明細書
・生命保険に関しては保険証券
➂また、相続人の持分を把握するのに
・遺言
・遺産分割協議書(遺言のない場合必要。相続人全員の実印による押印&署名が必要)
・相続人全員の印鑑証明書
- 最終的に申告するに
・相続人全員のマイナンバー
ただし、上記の準備資料の中で、遺言書のない場合の遺産分割協議書は、分割協議が整わない限り完成できません。かといって、遺産分割の協議は相続人同士が対立していては、なかなか合意に至らないケースが生じることは十分に予想されます。
そうした場合であっても、前もって相談していただければ、申告期限内に遺産分割協議ができなくても相続税申告相談プラザひろしまでも対処して、配偶者の税額軽減・小規模宅地の評価減の特例を最終的に適用できる状態にすることができますので、ご気軽に相談してください。