名義預金が相続財産となる方

質問

広島市西区に住む80歳の女性です。30年前から息子と娘の名義で郵便局に貯金しています。

子供たちは金遣いが荒く、現金を渡してしまうとすぐに使ってしまうので、自分がその通帳も印鑑も持っています。将来自分が死んだとき、各々に自分の貯金として渡せたらいいなと思っていますが、これは相続税の節税になりますか?

名義預金

回答

結論から申し上げますとこの場合、名義は確かに息子と娘になっているものの、実質の預金者は質問者でありますので、結果的には相続税の節税になりません。
口座の名義人と実質の所有者が異なる預金のことを名義預金と言います。この名義預金は相続税の申告上でトラブルの原因となりやすいので、注意しましょう。
名義預金において、どういうポイントに注意すべきか説明します。

① この預金は結局誰が出したのか?

まだ学生の子供がいきなり数百万円の預金をされたらおかしいです。

また就職したとしても、年収以上の預金をされても同様です。

➁ この預金はどういう管理をされていたか?

預金通帳・預金証書・銀行印・キャッシュカードはどこにあったのでしょうか?

子供は東京に出たのに、預金通帳が広島の実家の金庫にあったらおかしいです。

子供は東京に出たのに、広島のATMでおカネの出し入れがあってはおかしいです。

子供は東京に出たのに、いつまでも預金の届け出住所が実家ではおかしいです。

この①と②のポイントで名義預金か否かが判断されます。

親が実質的に所有している預金が子供の名義になった時点で贈与ではないかということも考えられますが、贈与ではありません。

贈与は贈与者と受贈者との間の契約なので、子供が贈与を受けたことを知らなければ、贈与とは言えません。

これは親が勝手に子供の贈与税の申告をしていても同様です。その結果、名義預金には贈与税ではなく、相続税の対象となりますが、親は相続財産として認識して管理していないので、相続人に想定外の相続税が課せられる可能性も高くなりますので、注意しましょう。

また、名義預金となった場合、預金を動かしたのは数十年前だから時効が成立するから大丈夫と考えることもできません。

名義預金とされないためには実質子供の所有する預金にしないといけません。

そのポイントは、まず子供の名義預金をまず親の名義に戻す振込を実行した上で

① 親から子供への贈与を証拠が残りやすい振込で行いましょう。
➁ 贈与実行後の預金通帳・印鑑・キャッシュカードは子供が管理しないといけません。
➂ 贈与契約書をきちんと残しましょう。
④ 贈与税の申告を子供側できちんと行いましょう。

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