葬式費用を計上して相続税節税ができる?(放送開始152回目)

相続税専門税理士が解説します。葬式費用を漏れなく計上することにより相続税を節税することができます。

葬儀費用として控除できるものとして、国税庁のタックスアンサーでは次のように説明しています。

遺産総額から差し引く葬式費用は、通常次のようなものです。

(1) 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が控除できます。)

(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用

(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれに当たります。)

(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

(5) 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

次のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。

(1) 香典返しのためにかかった費用

(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用

(3) 初七日や法事などのためにかかった費用

葬儀会社へ支払う費用

葬儀費用として控除できるのは通夜・本葬・初七日(本葬と同日開催のみ)のみ

まず葬儀会社へ支払う通夜・本葬の費用です。
他に葬儀会社では初七日や四十九日の法事を行うこともありますが、初七日のみ本葬と同日に行うときのみ葬儀費用として控除できます。


互助会積立金の取り扱いに注意

例えば葬儀会社に70万円支払った際、その明細を見て互助会積立金とかそれに類する値引きのようなものがないか確認しましょう。

仮に本来は100万円請求すべきであったが、積立金30万円を使って、今回は70万円のみの支払った際には、

その積立金が被相続人が積み立てたものであれば葬儀会社での積立金30万円が相続財産として計上し、葬儀費用は100万円計上します。

その一方で、その積立金が相続人の積立金であれば、葬儀費用のみ100万円計上することになります。

香典返しは入らない

香典も計上しない代わりに、香典返しは控除できません。

香典返しに似たものとして通夜・告別式の参拝者に渡すお品代の「会葬御礼費用」というものがあります。 

別途後日香典返しをしている場合、「会葬御礼費用」は葬式費用として控除できますし、

後日香典返しをしていない場合は、「会葬御礼費用」は香典返しとみなされ、葬式費用として控除できません。

お寺さんのお布施

通夜・本葬・初七日(本葬同日開催のみ)の際のお布施、読経料(どくきょうりょう)、戒名料ですが、お寺さんは領収書をもらえないことが多いです。この場合、領収書がなくても、相続人のメモでも計上できます。

また、葬儀の際のお寺の住職を送迎する費用も計上できます。

位牌の費用は控除できる?

葬式の際に使われる白木位牌は葬儀費用として控除できますが、
葬儀後仏壇に祀られる本位牌は控除できません。

遠方の親戚が葬儀に参席するための交通費は控除できますか?

葬儀とは直接関係ないので、控除できません。

他に以下のものも葬儀費用として控除できます。

•死亡診断書費

•火葬、埋葬、納骨の費用

•死体捜索にかかった費用

•死体運搬費

令和6年6月20日FMちゅーピー出演放送152回目