相続税専門税理士が解説します!配偶者居住権(放送開始112回目)

民法改正の話題の配偶者居住権を相続税専門の税理士が解説します。

配偶者居住権とは?何のために設定されたか?

配偶者居住権とは、住宅の所有者が死亡した場合、
その所有者の配偶者(同居していなくても可)がその自宅に無償で住み続ける権利を保証するものです。

配偶者居住権は令和2年4月1日の民法改正により設定されたものですが、
改正までは故人の持ち家に住み続けるには、配偶者が自宅を相続しないといけませんでした。

子供が自宅を相続すると、配偶者はその子供から自宅を使用貸借する方法でも住み続けることはできますが、

その場合配偶者が身分が不安定でした。

配偶者が自宅を相続した際に、自宅の不動産評価が高い場合、        

相対的に相続できる預貯金が少なくなり

相続後の生活が困窮して最終的に自宅を手放さざるをえない事態を防ぐためのものです。

配偶者居住権と言っても「配偶者居住権」と「配偶者短期居住権」とがあります。

まず配偶者短期居住権とは?

配偶者短期居住権は、残された配偶者が、死亡した人が所有していた建物に居住していた場合、

①遺産分割協議が締結されるまでの間まで、もしくは

➁遺産分割協議が締結された場合であっても被相続人が亡くなってから6か月間
は無償でその建物に居住できる権利のことです。


遺言などで配偶者以外の第三者が建物の所有権を相続した場合、

その所有権を相続した第三者はいつでも配偶者短期居住権を消滅させるよう申し入れすることができますが、
その場合でも、残された配偶者は申し入れを受けた日から6か月間は無償でその建物に住み続けることができます。


配偶者短期居住権は,登記することはできません。

配偶者居住権とは?

配偶者居住権が成立するための要件は次の3つです。

1.残された配偶者が、亡くなった人の法律上の配偶者であること。内縁の妻では要件をクリアしません。
2.配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に,亡くなったときに居住していたこと
3.次のいずれかの場合
①相続人の間で話し合い遺産分割協議が成立した

遺言書の中で記載されていた

死因贈与契約書の中に記載されていた

④遺産分割協議が成立しなかったが家庭裁判所により審判されたのいずれかにより配偶者居住権を取得
したこと

配偶者居住権を登記できるのは配偶者のみであるが、配偶者は配偶者居住権を登記して第三者に対抗することができます

例えば、配偶者居住権が設定された不動産を購入した人は、配偶者を立ち退きを要求したり、家賃を請求したりすることはできません。

また、その不動産の所有者は配偶者に登記を請求する権利を持ってます。

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