相続税の税率は何%?税額の計算方法を詳しく解説

相続税は、遺産を相続したときにかかる税金です。相続税の税率は課税対象の遺産総額によって変わる「超過累進課税」であり、10%から55%の範囲で適用されます。

この記事では、相続税の税率や相続税額の計算方法について説明します。

人によっては高い税率が適用される相続税ですが、正しい知識を持って申告すれば、大幅に節税することも可能です。適切に相続税を申告・納付するためにも、本記事で知識を深めていきましょう。

そもそも相続税とは

相続税とは、亡くなった人からお金や土地などの財産を受け継いだときに、財産の価値に応じて課される税金です。相続税には、資産を再分配したり財産相続による格差の固定化を防止したりする機能があります。

相続税は、すべての財産にかかる税金ではありません。課税対象になる財産とならない財産があるため、それぞれどのようなものが当てはまるのかを知ったうえで計算することが大切です。

課税対象になる財産、非課税の財産

相続税の課税対象になる財産は、表のとおりです。

課税対象の財産概要
相続財産現金預貯金土地建物株式車宝石骨とう品 など
みなし相続財産死亡保険金や死亡退職金など、被相続人が亡くなったことで受け取る財産
贈与財産相続開始前7年以内の贈与財産
※令和5年12月31日以前の贈与に関しては3年以内相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産
※出典:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産

現金や不動産、動産だけではなく、死亡保険金や生前の贈与財産も課税対象となることがある点に注意が必要です。

反対に、次のような財産は課税対象になりません。

  • 生命保険金や退職手当金等の「500×法定相続人の数」までの部分
  • 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしているもの
  • 公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
  • 心身障害者共済制度にもとづいて支給される給付金を受ける権利
  • 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの
  • 相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

※出典:国税庁「No.4108 相続税がかからない財産

相続税を計算するときは、遺産の総額から非課税になる財産と控除を差し引いた金額を算出する必要があります。そのため、各財産がどれくらい遺されているのかを正確に把握することが大切です。

しかし、一般の方が財産の課税・非課税を判断したり、財産を正確に把握したりすることは難しいものです。相続税の計算に不安がある場合は、税理士に相談することがおすすめです。

相続税の税率を考える際のポイント

相続税の計算は、相続した財産の評価額に決まった税率をかけ合わせるだけの単純なものではありません。

以下の3つのポイントを意識しなければいけないので、計算プロセスが複雑になりやすい点に注意が必要です。

  • 法定相続分の取得金額
  • 相続人数
  • 超過累進課税

ここでは、相続税率を考えるときに重要となるポイントを詳しく説明します。

法定相続分の取得金額

相続税は、法定相続分の取得金額に応じた税率を用いる必要があります

法定相続分とは、民法で定められた相続割合です。たとえ法定相続分とは異なる割合で遺産分割するとしても、いったんは各人の法定相続分にのっとって相続税を計算しなければいけません。

民法で定められた法定相続分は、次のとおりです。

相続人の状況法定相続分
配偶者+子どもが相続人の場合2分の1ずつ
配偶者+被相続人の親・祖父母が相続人の場合・配偶者3分の2・親または祖父母の全員で3分の1
配偶者+兄弟姉妹が相続人の場合・配偶者4分の3・兄弟姉妹の全員で4分の1

例えば、配偶者と子ども3人が相続人で、課税遺産総額が6,000万円だったとします。この場合は、配偶者が3,000万円、いったん子ども1人あたり1,000万円を相続したものとして相続税を計算するということです。

それぞれの仮の相続税が計算できたら総額を算出し、実際の相続分に応じて各人の相続税を計算し直します。

相続人数

相続税を計算するときは、相続人の数も考慮に入れなければいけません。なぜなら、相続人の数に応じて基礎控除の金額が変わるためです。

相続税には、課税対象額から一定金額を差し引ける「基礎控除」があります。基礎控除は、次の計算式で算出されます。

基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
※出典:国税庁「No.4152 相続税の計算

また、死亡保険金や死亡退職金等の非課税枠も法定相続人の数に応じて変わります。

死亡保険金や死亡退職金等の非課税枠=500万円×法定相続人の数
※出典:国税庁「相続税の課税対象になる死亡保険金

つまり法定相続人が多いほど控除できる金額は高くなり、課税遺産総額を減らす効果があるのです。

超過累進課税

相続税は、取得する財産が多くなるほど税率が高くなる「超過累進課税」を用いて計算します。超過累進課税では、法定相続分に応じた課税対象額をいくつかの区分に分け、それぞれの区分ごとに税率を適用します。

相続税の税率は、次の一覧表のとおりです。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
※引用:国税庁「No.4155 相続税の税率

仮に法定相続分が500万円だった場合は10%、2,000万円だった場合は15%の税率が適用されます。なお、算出した相続税からは控除額を差し引けます。

相続税の計算方法・税率の算出方法

ここからは、相続税の計算方法や税率の算出方法を具体的にみていきましょう。

相続税を計算する流れは、次のとおりです。

  1. 遺産総額を計算
  2. 課税遺産総額を計算
  3. 法定相続分に従い相続税の総額を計算
  4. 実際の相続割合に従った税額を計算

各プロセスのポイントを詳しく紹介します。

1.遺産総額を計算

相続税を計算するには、遺産の総額がどれくらいあるのかを正しく把握する必要があります

課税対象となる遺産と非課税の遺産をしっかりと整理して、次の式に当てはめて遺産総額を計算しましょう。

遺産総額=相続財産+みなし財産-非課税財産+相続時精算課税にかかる贈与財産-債務および葬式費用+暦年課税で相続開始前の一定期間内に贈与した財産
※出典:国税庁「No.4152 相続税の計算

※出典:国税庁「No.4152 相続税の計算

相続時精算課税制度については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

【関連記事】相続時精算課税制度とは?必要書類とメリット・デメリットを解説

葬儀費用については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

【関連記事】葬儀費用で相続税は安くできる?控除できるものや申告方法・注意点を解説

2.課税遺産総額を計算

次に、遺産総額のうち相続税の課税対象となる金額(課税遺産総額)を計算しましょう。

課税遺産総額は、遺産総額から基礎控除を差し引いて算出します。基礎控除の金額は、次の式で計算してください。

基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
※出典:国税庁「No.4152 相続税の計算

例えば、遺産総額が1億円で相続人が3人だった場合、次のように計算できます。

  • 基礎控除=3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
  • 課税遺産総額=1億円-4,800万円=5,200万円

この場合は、5,200万円の部分にのみ相続税がかかるということになります。なお、基礎控除の金額が課税遺産総額を上回るときは、相続税の申告や納付は不要です。

3.法定相続分に従い相続税の総額を計算

課税遺産総額がわかったら、法定相続分に従って遺産分割を行う場合の相続税を計算します。ここで行う計算は相続税の総額を算出することが目的なので、実際の相続割合が法定相続分と違っていても問題ありません。

例えば、課税遺産総額が5,200万円で相続人が配偶者と子ども2人の場合、次のように計算されます。

  • 配偶者の仮の相続税:5,200×法定相続分1/2×相続税率15%-控除額50万円=340万円
  • 子どもの仮の相続税:5,200×法定相続分1/4×相続税率15%-控除額50万円=145万円
  • 相続税の総額=340万円+145万円+145万円=630万円

上記の計算から、相続税の合計額は630万円ということがわかりました。

4.実際の相続割合に従った税額を計算

最後に、相続税の総額を実際の相続割合で按分して各人の相続税を算出しましょう。

例えば、相続税の総額が630万円で、配偶者が5分の3、子どもが5分の1ずつ遺産を相続する場合、次のように計算できます。

  • 配偶者の相続税=630万円×3/5=378万円
  • 子どもの相続税=630万円×1/5=126万円

つまり、この場合は配偶者が378万円、子どもが126万円ずつ相続税を納付すれば良いということになります。

ただし、相続人が配偶者の場合は配偶者控除が適用されるため、相続税は0円になります。また、子どもに未成年者や障害者などが含まれる場合、各種控除が適用されて相続税額を減免することが可能です。

実際の計算はより複雑になる可能性があるため、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。

相続にお困りなら専門家へご相談を

相続税は、相続する遺産の金額に応じて税率が変わる超過累進課税の税金です。また、単に相続遺産に税率をかけ合わせれば良いわけではないので、計算時は注意しましょう。

最高で55%という高い税率が適用されるため、利用できる控除や特例がある場合はしっかりと活用していくことが大切です。相続税の負担を軽減したい場合は、節税について熟知した税理士に相談することをおすすめします。

相続税申告相談プラザひろしま」では、相続と向き合い30年以上の専門家が相続手続きのサポートを実施しています。相続税でわからないことやお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。