タンス預金の隠し方はある?税務署はココを見ている!

タンス預金は相続税申告しなくても、税務署にバレないと思っていませんか?もしタンス預金を申告せず、税務署にバレた場合にどのようなペナルティーがあるのでしょうか。

この記事では、タンス預金は税務署にバレるのか、バレる理由について解説します。タンス預金がバレた場合のペナルティーに関しても解説しますので、これから相続税申告する方やタンス預金を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

タンス預金は税務署にバレる

相続税申告の際は、タンス預金も申告する必要があります。では、タンス預金を相続税申告しなかったらどうなるのでしょうか。

結論から言えば、タンス預金は税務調査によりバレる可能性が高いと考えられます。とくに、100万円以上の大きな金額のタンス預金はバレやすいでしょう。

小銭や数万円程度のタンス預金はバレない可能性もありますが、万が一税務署にバレると追徴課税などを支払わなければいけなくなります。また、最悪の場合は懲役刑が科せられる可能性もあります。

タンス預金が税務署にバレる理由

では、どのようにして税務署にタンス預金がバレてしまうのでしょうか。タンス預金が税務署にバレる理由には、以下のようなものがあります。

  • 国税総合管理(KSK)システム
  • 税務調査

それぞれの理由を詳しくみていきましょう。

国税総合管理(KSK)システム

国税総合管理(KSK)システムとは、全国の国税局と税務署に登録されている税申告や納付事績などを一元管理するシステムです。このシステムにより、毎年の確定申告や源泉徴収から、国民一人ひとりのおおよその収入や財産が把握されています。

そのため、国税総合管理システムで導き出されるデータと提出された相続税申告書の額が乖離している場合、税務調査が入りやすいと考えられています。

税務調査

税務調査とは、正しい税務申告がされているかを調査するものです。税務調査としてヒアリングや反面調査、実地調査が行われることがあります。

反面調査とは

反面調査とは税務調査の対象者ではなく、金融機関や生命保険会社などの関係先を調査するものです。

また、被相続人が生前に親しくしていた人や取引先などが対象になることもあります。事前通達されないため、前もって関係先や取引先と話を合わせることはできません。

実地調査とは

実地調査とは実際に調査官が自宅に来て、申告漏れのある相続財産がないかを確認する調査です。タンスや押入れの中、床下など家中を調査されるため、タンス預金もバレてしまう可能性があります。

ただし、実地調査は事前通告があるため、相続人全員が立ち会えるよう調整するとよいでしょう。また、税金のプロである税理士の立会いも依頼しておくと安心です。

タンス預金がバレたときに起こり得ること

タンス預金がバレた場合、以下のような対応が必要となることがあります。

  • 追徴課税が発生する
  • 懲役刑が科せられる

それぞれ必要になる対応をみていきましょう。

追徴課税が発生する場合がある

追徴課税とは、税務調査で申告漏れや無申告が発覚したときに、本来納税すべきだった相続税との差額を納付することです。追徴課税には、延滞税と加算税の2種類があります。

ここでは、延滞税と加算税について詳しく説明します。

延滞税

延滞税とは、決められた期限までに税金を納めなかった場合に課せられる税金です。

原則、納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた利息相当額を納める必要があります。延滞した期間によって、課せられる割合が異なります。

延滞した期間割合
納期限の翌日から2か月を経過する日まで年2.4%
納期限の翌日から2か月を経過した日以降年8.7%
参考:国税庁「No.9205 延滞税について」

延滞税の計算方法は、以下の計算式を用います。

①=納付すべき本税の額×2.4%×日数/365日
②=納付すべき本税の額×8.7%×日数/365日延滞税の額
①+②=延滞税額
参考:国税庁「延滞税の計算方法」

たとえば、タンス預金を含めた本来納付すべき相続税が50万円、延滞している日数が75日の場合は、以下のように計算します。

①=50万円×2.4%×60日/365日=1,972円

②=50万円×8.7%×15日/365日=1,787円

延滞税の額=1,972円+1,787円=3,759円→3,700円(百円未満切捨)

上記の例では、延滞税の額は3,700円です。

加算税

加算税とは、相続税申告が適正に行われなかった場合に課せられる税金です。加算税には、無申告加算税・過少申告加算税・不納付加算税・重加算税があります。

加算税の種類要件課税割合
無申告加算税期限後申告があった場合、または期限後申告について修正申告・更生があった場合15%(50万円を超える部分は20%)
過少申告加算税期限内申告について、修正申告・更生があった場合10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%)
不納付加算税源泉徴収等による国税について、期限後納付・納税の告知があった場合10%
重加算税仮装隠蔽があった場合過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%
参考:財務省「加算税の概要」

たとえば、タンス預金の本来の税額が10万円で相続税の申告をしなかった場合は、無申告加算税10万円×15%=1万5,000円がプラスして課せられます。

懲役刑の有罪判決が下される場合もある

タンス預金を相続税申告しなかった場合、脱税したとみなされて追徴課税だけでなく、懲役刑で有罪判決が下される可能性もあります。有罪判決が下されると、懲役や罰金などの刑が科せられます。相続税の無申告により、脱税で有罪判決を受けた場合に科せられる刑罰は、以下のとおりです。

罰則の種類要件刑罰の内容
脱税犯偽りその他の不正行為により、各種納税を免れた場合10年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、または併科
ほ税犯期限内申告を期限内に提出せず納税を免れた場合5年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金
無申告犯正当な理由なく、期限内申告を期限内にしなかった場合1年以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金

もっとも重い刑罰は脱税犯で、相続税がかかることを知りながら故意に納税を免れた場合に科されます。ほ税犯と無申告犯は期限内に申告せず、納税を免れた場合に科せられる刑罰ですが、ほ税犯は故意に申告書類を提出しなかった者に科せられるものです。

相続税の時効

相続税の時効は、相続発生から10か月間の申告期限から5年です。ただし、時効が5年なのは無申告・未納に悪意がなかった場合で、故意に脱税した場合の時効は7年になっています。

たとえば、2023年5月が申告期限だったものの、悪意なく申告し忘れてしまった場合は2028年が相続税の時効です。一方、故意に申告しなかった場合は、2030年が相続税の時効となります。

タンス預金のメリット・デメリット

タンス預金を相続した場合、相続税申告に含めなければ脱税となり加算税や延滞税、刑罰の対象となります。しかし、タンス預金そのものがダメというわけではありません。

最後に、タンス預金をするメリットとデメリットを紹介します。

タンス預金のメリット

タンス預金をするメリットは、銀行口座が凍結されても困らないことです。相続が開始すると、遺産分割協議が終わるまで被相続人の銀行口座は凍結されます。

しかし、葬儀費用や光熱費の支払いなど、被相続人の資産を使いたい場面も出てくるため、現金が手元にあると便利です。

また、銀行が破綻した場合に資産を守ることができるのも、タンス預金のメリットです。原則、1,000万円までの銀行預金は保険で守られますが、1,000万円を超える銀行預金に保険は適用されません。そのため、銀行が破綻すると1,000万円を超える預金は、手元に戻ってこない可能性が高くなります。タンス預金として手元に置いておけば、銀行の破綻に左右されることはありません。

タンス預金のデメリット

一方、タンス預金には災害や盗難により、損失が出る可能性のあるデメリットがあります。

また、タンス預金の残高を証明する書類がないため、相続時のトラブルになる可能性がデメリットです。相続人のうち、隠し場所を知っている誰かが持ち逃げしても、ほかの相続人は気付かないケースもあります。

危険を冒すよりも堅実に納税するなら専門家に相談を!

タンス預金も相続税の対象となるため、国税総合管理システムや税務調査により、税務署に無申告がバレる可能性が高くなります。

もしタンス預金の相続税無申告がバレると、延滞税や加算税だけでなく、懲役刑の有罪判決を受ける可能性もあります。そのため、タンス預金を隠すのは得策とは言えません。

タンス預金を隠すより、税金の専門家に相談して節税するほうが堅実的です。「相続税申告プラザひろしま」では、相続税に詳しい税理士がタンス預金の相談に応じ、一緒に税金対策を考えます。ぜひお気軽にお問い合わせください。